文化としての表現を, 多面的に深く追究する
私たちは小さい頃から自分らしくあれと言われ続けてきました。表現についても同様です。個性的であること,オリジナルであることが賞揚されてきました。しかし,ほんとうでしょうか?いったい個性やオリジナルとは何でしょうか。そもそも,そうした言説はどのようにして成立したのでしょうか。表現文化論研究は,まず,表現を疑うところから始まります。表現に限りない関心をもつからこそ,疑うのです。
表現文化論コースは,表現を,人間が意識するとしないとに関わらず生み出してきた文化として捉え,歴史的・社会的に探求します。人間ひとりひとりの想像力は,残念ながら身の丈を超えることはできません。しかし,そうした人間が集まった社会では,想像を絶することが起こり得ます。そして,その社会がまた次の時代の個性に影響を与えます。これまで素直に好きでいられた表現の世界にちょっとした疑念が生じたとき,そのときこそが,さらなる探求への出発点です。文献調査や,実験,フィールドワークに実際の表現活動といった様々な研究へのアプローチの中で,表現文化の過去・現在・未来に対する深い認識と柔軟で創造的な構想力を養い,さらに,その認識や構想を他者に向かって分かりやすく説得的に伝えることのできる論理的な表現力を涵養します。官公庁や民間企業・組織の専門職,研究者,学芸員,アートマネージャー,ステージマネージャー,編集者,ジャーナリスト,ライターなど,これからの成熟社会において表現文化の諸領域で活躍が期待される人材を養成します。