人間発達専攻長
稲垣 成哲 教授
専攻長からのメッセージ
人間発達専攻は,多様な側面を持つ人間の発達を,総合的な視点から教育研究の対象とします。前期課程においては,人間の発達に関する実践的諸課題の解決やそれを支える新たな公共の創出に貢献する,高度専門職業人の養成を目的とします。後期課程においては,人間の発達に関する高度な専門的学識及び創造的な研究能力を持つ自立した研究者,又は研究能力に加えて,確かな教育開発力を備えた大学教員の養成を目的とします。さらに,特別な履修コース「臨床心理学コース」と「発達支援1年履修コース」を設置し,実践的職業人も養成します。本専攻では,幅広い問題関心のもとに,こころ系,表現系,からだ系,学び系という各系の方法及び視点の多様性を学習し,自らの専門の新たな位置付けや特徴を習得します。そのため,多面的かつ総合的に問題にアプローチする仕掛けが随所に組み込まれています。たとえば,前期課程の共通必修科目「人間発達総合研究I」では,最先端の研究を推進する教員から,従来の枠組みでは捉えることのできない問題とそれを解きほぐすための方法論が示されます。
系講座について
講座 | 概要 |
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こころ系 | こころ系講座では,心理学と健康科学を総合した観点から,心身の発達や健康,その促進・阻害要因の探究と複雑な相互関係の把握に努め,広い視野と深い専門性をもって人間発達の様相を追究します。 |
表現系 | 表現系講座では,人間の感性の発現としての表現活動を教育研究対象とし,実践表現を基盤とした理論構築や,その営みによって生み出された様々な「もの」「こと」に関わる多面的な研究を行います。 |
からだ系 | からだ系講座では,日常生活からレジャーやスポーツにわたる幅広い身体活動や人間行動の発達と加齢及び適応現象を教育研究対象とし,人々の発達や社会活動に関わる様々な課題について学際的な観点から研究を行います。 |
学び系 | 学び系講座では,教育及び学習等に係わる社会的・個人的営為を対象に教育研究を行い,人間の誕生から高齢期に至るこころ及び諸能力の発達や人間形成に関わる諸要因について理論的,実証的に探究します。 |
履修コース(前期課程のみ)について
本専攻では,実践的職業人の養成を目的とする2 つの特別な履修コースを設置しています。
コース | 概要 |
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臨床心理学コース | 臨床心理士資格認定試験および公認心理師の受験資格を取得できるコースで,心理臨床の専門職に求められる実践力と研究能力をともに高めます。 |
発達支援1年履修コース | 職業人として高い成果を積み重ねてきた社会人を対象とし,発達支援に関する研究分野において1 年間で修士号の取得が可能なコースです。本コースでは,実践に即した研究能力を高め,さらに高度に専門的な職業人としての能力を獲得することを目指します。 |
教育の特色
本専攻では,学生自らによる主体的な創造的取り組みを尊重し支援する教育プログラムを採用します。
- 「学問領域複合型人間発達研究」の有効性
- 人間の発達は,すべての人がもつかけがえのない個性を前提とする概念です。一人ひとりの人間は,様々な潜在能力をその人に固有の道筋で開花させていくのであり,それを人間の発達と呼ぶことができます。ですから,実際に現れる発達の様相は,とても多様で複雑です。本専攻は,一筋縄では捉えられない人間の発達と向き合おうとするとき,関連する学問分野が相互につながり,それぞれに蓄積された学問的知見を有機的に結び付ける「学問領域複合型人間発達研究」こそ,発達の実像の解明に効果的であると考えています。
- 研究課題に応じた学生自身によるコースワークの設定
- 本専攻は,学生自身が,既成の概念にとらわれることなく,それぞれの問題意識に基づき独自の視点から人間の発達を解明することを期待しています。そのた
め,心理学,健康科学,体育学,芸術学,教育学等,多岐にわたる専門科目を置き,学生が研究課題に応じてそれらを組合せ,自分自身のコースワークを設定できるようにしています。 - 専攻共通科目の設置ときめ細かな指導体制
- 本専攻には,自由なコースワークを支え,専門性を確保する仕組みが用意されています。「人間発達総合研究I,II」や「人間発達研究」などの専攻共通科目が置かれ,人間発達研究の視点や研究方法の多様性を学習するとともに,それぞれがとるべき研究上の位置や方向を理解できるようにしています。また,主指導教員1名,副指導教員2名の3名体制により,丁寧な指導が行われます。特に副指導教員は,その学生の研究内容に関連して他の学問領域から助言することが期待され,専門の枠にとらわれない独創性・創造性をもった研究を可能にします。
- コミュニティ創成に役立つ人材の養成
- 本専攻では,包摂する学問領域の広さから,修了生は多彩な進路で活躍することが期待されます。いずれの進路をとるにせよ,人間発達にかかる豊かな知見をもとに,多世代の人々がともに参画できる安全で安心なコミュニティの創成に役立つ人材になることが期待されます。前期課程では,人間発達という視点から21世紀の諸課題に果敢に取り組み新たな公共性の創出に貢献できる高度専門職業人を養成します。また,後期課程では,自らの専門以外の学問領域に広く目配りしながら,コミュニティ創成の研究を主体的に展開できる研究者や大学教員を養成します。
- 先端的研究に協働する「研究道場」の設置
- 本専攻では,人間発達研究の特定分野において,特に優れた大学教員・研究者を養成するため,本研究科の教員が共同で先端的研究を進める研究会に学生が参加し協働する体制「研究道場」を整備しています。そこで,学生が実践的な研究力量を身につけ,研究者として早期に自立できる素養を習得するようにします。
取得可能な資格免許
幼稚園教諭専修免許状,小学校教諭専修免許状,中学校教諭専修免許状(保健体育,音楽,美術),高等学校教諭専修免許状(保健体育,音楽,美術),特別支援学校専修免許状,臨床心理士試験受験資格(臨床心理学コースのみ),公認心理師受験資格(臨床心理学コースのみ)