近年のスポーツ科学の進歩は目覚ましいものがあります。たとえば,水泳競技のスイムスーツが競技成績に大きな影響を与えたことは記憶に新しいですが,そのほかにもラケットやバット,投てきのヤリや各種スポーツ用のシューズなど,スポーツ用具やウェアなどの進化の裏には,さまざまなスポーツ科学による成果が存在しています。また,アスリートの心理状態に関する研究や,運動生理学の最新の知見に基づくトレーニング方法の開発などもパフォーマンスの向上に大いに役立っています。本コースの大学院担当教員は身体行動に関する基礎的研究に専念することはもちろん,それらの研究手法を駆使して広く社会に役立つ応用研究にも力を入れています。大学院生には理学療法士やスポーツ・トレーナーなど,すでに社会で活躍している人たちも在学しており,コース内に活気をもたらしてくれています。講義や演習では,学部よりさらに高度で専門的なアプローチを行えるよう,専門知識や解析手法などをしっかりと身につけ,総まとめとなる修士論文や博士論文の作成へと発展させていきます。身体運動のメカニズムや心理的・生理的効果について,運動心理学,身体コンディショニング,スポーツバイオメカニクス,ストレス生理学,身体運動制御論,運動処方論の各面から,また,運動・スポーツの文化・歴史および振興施策について,スポーツ文化史,生涯スポーツ論の各面から学び,身体行動に関する高度な知識と研究手法を修得していきます。身体運動・スポーツ科学分野の研究者養成とともに,体育・スポーツの指導者やスポーツ政策やマネジメントなどの高度専門家としての能力を育成します。