昨年(2015年),3枚の切り絵が発達科学部において見つかりました。大きなコンピュータを前に,とても嬉しそうな表情の子どもたちが生き生きと表現された切り絵です。その切り絵にまつわる話を紹介します。
昭和56年(1981年),パーソナルコンピュータが大学の研究室に導入され始めた頃の話です。今とは異なりパーソナルコンピュータはまだ世間一般では非常に珍しいものでした。そんな中,コンピュータを利用した算数・数学教育の研究に取り組まれたのが田村三郎先生(当時,神戸大学教育学部所属)でした。研究の実践の場とされたのが,兵庫県宍粟市千種東小学校(現在は千種小学校)です。授業の様子は当時の民放テレビのニュースでも取り上げられるほどでした。授業をうけた児童たちは初めて触れるコンピュータに大変感激し,その思いを切り絵に表現しました。後日,この3枚の切り絵が担任の先生から田村先生のもとに届けられました。