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西口翔さん(発達科学部人間環境学科)と田畑智博准教授の論文が学術雑誌に掲載されました

西口翔さん(発達科学部人間環境学科生活環境論コース卒業生)が在学中に研究された結果が,田畑智博准教授との共著論文として学術雑誌「Renewable & Sustainable Energy Reviews」に発表されました。

研究の概要

地球温暖化の主原因である化石燃料の使用を抑制するため,世界各国で再生可能エネルギー(太陽光,風力,地熱,小水力,バイオマスなど)の利用が進んでいます。このうち,バイオマスとは,有機物系の資源(木材,農業残渣,生ごみ,下水汚泥など)のことを指します。木質由来のバイオマスは建築材,製紙,燃料などの用途に利用されていますが,我が国では年間約880万tが未利用となっています。そこで未利用の木質バイオマスをエネルギー利用する産業を我が国に新設することで,我が国全体でどれだけの社会的(雇用創出),環境的(二酸化炭素削減量),経済的(生産誘発額)な効果があるのかを明らかにすることを目的として研究を行いました。

研究では,先ず,我が国における木質バイオマスのエネルギー利用施設(直接燃焼発電所など)と燃料生産施設(木質ペレットなど)にアンケート調査や聞き取り調査を行い,必要人員,必要経費,エネルギー生産量などのデータを入手しました。続いて,入手したデータをもとに,我が国に新たな木質バイオマス発電所を建設して発電した場合,あるいは新たな木質ペレット生産施設を建設して,生産したペレットを家庭などの暖房・給湯用途に利用した場合の2ケースを対象として,産業連関分析という経済学的な評価方法を用いて他産業への経済波及を考慮した評価を行いました。その結果,最大で約25,000人の雇用創出,約1400万tの二酸化炭素削減,約9.8億USドルの生産額誘発が見込めるということを明らかにしました。特に,地球温暖化の観点からみると,未利用の木質バイオマスをエネルギー利用することで,我が国の二酸化炭素排出量を約1.1%削減できるという試算結果になりました。これは,我が国における温室効果ガス排出削減目標(2030年度に2013年比でマイナス26.0%を目指す)の達成の一助になると考えることができます。