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教員情報(IWASA Takuya)

氏名・職名 岩佐 卓也(いわさ たくや,IWASA Takuya)准教授
メールアドレス iwasa [at] kobe-u.ac.jp
取得学位 博士 (社会学) (一橋大学)
研究分野 社会政策
[学部] 所属 人間環境学科 社会環境論コース
研究テーマ

新自由主義的な制度改革と社会編成が進行するなかで,雇用のルールはどのように変容してきているのか,賃金問題などを焦点に研究しています。

[大学院] 所属 [博士課程前期課程] 人間環境学専攻 社会環境論コース
[#091;博士課程後期課程] 人間環境学専攻 社会環境論分野
[(#091;(旧)博士課程前期課程] 人間環境学専攻 社会環境論コース
[(旧#091;(旧)博士課程後期課程] 人間環境学専攻 社会環境論分野
研究テーマ

新自由主義的な制度改革と社会編成が進行するなかで,雇用のルールはどのように変容してきているのか,賃金問題などを焦点に研究しています。

研究者情報 神戸大学研究者紹介(KUID)
教員サイト 教員のウェブサイト
研究室紹介 労働のめぐる変化を歴史のなかでとらえる

今日の社会において私たちは「労働」することになし生きてゆくことはできません。そのなかで人々がみな満足する状況,つまり,労働者にとって仕事のやりがいがあり,待遇にも満足している,企業の方も利益に満足し,将来の安定している-という状況があれば,それは幸せなことといえるでしょうし,そうしたことは実際にもたくさんあります。しかし,そのようにはいかない場合,つまり人々が労働をめぐって不満,ストレス,怒り,不安を抱き,労働者と企業の間に対立が生まれるということも少なくありません。またこの間の政治,経済,社会の変化は,そうした対立をより深刻化させる方向へと進んでいます。こうした労働問題はなぜ起きているのか,それをどのように考え,解決していくのか,一緒に勉強し議論してゆきたいと思います。

研究最前線 ドイツの労使関係,労働協約はどう変わってゆくのか

この間私はドイツの労使関係に関する調査, 分析を行っています。
企業的組合と企業別労使交渉が支配的な日本では,それが労働組合の規制力を弱めているとの批判的視点から, ヨーロッパ諸国の企業横断的な労使関係と労働協約との対照関係が強く意識されてきました。企業横断的なヨーロッパの労使交渉と労働協約こそ, 個々の企業のおかれている状況にかかわりなく平等に, かつ安定的に労働条件を規律することができる優れたシステムとして理解されてきました。
しかし今日, このように理解されてきたところの横断的労働協約のモデルは現実を正確に反映するものではなくなっています。これまでであれば個別企業にとっては変更不可能な与件であった労働協約上の労働条件は,徐々にそうしたルールとしての「硬さ」を失い, 一定の条件のもと個別企業ごとの事情に応じた労働条件の引き下げを許容するような,融通可能なより「柔らかい」ものへと変わっています。
こうした変化が著しく現れているのがドイツです。ドイツでは企業の「競争力強化」のために横断的労働協約の適用を除外するということが広く行われています。それは,ドイツの労働組合にとっての試練であるとともに, 横断的な規制を成り立たせている前提は何であるのかという問いを改めて突きつけているように思われます。
多くの事実を調べてゆくと,今日の労使関係の変化は,じつはさまざまな可能性の中から選択されてきた「政治的」な変化であること,したがってそれは別の方向に変わりうるものであることを感じます。しかし同時に, この現実の変化の力の強さ, つまり別の方向に変えることがいかに難しいかということも感じます。楽観でも悲観でもない, 具体的なリアリティのある分析を深めていきたいと思います。