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教員情報(KISHIMOTO Yoshihiro)

氏名・職名 岸本 吉弘(きしもと よしひろ,KISHIMOTO Yoshihiro)教授
メールアドレス yoshiki@kobe-u.ac.jp
取得学位 修士 (造形) (武蔵野美術大学)
研究分野 絵画表現
[学部] 所属 人間表現学科 表現創造論コース, 人間表現論コース
研究テーマ

現代における「絵画表現」を実践的 (実技) また理論的 (研究) な両側面より追求し,より本質的な人間表現としての「絵画」像を模索しています。

[大学院] 所属 [博士課程前期課程] 人間発達専攻 表現系講座
[博士課程�#091;博士課程後期課程] 人間発達専攻 表現系講座
[(旧)博�#091;博士課程士課程前期課程] 人間表現専攻 コミュニティアートコース
�#091;(旧)博士課程後期課程] 人間表現専攻 表現創造論分野
研究テーマ

近代以降の絵画表現を造形的な視点より分析し,それらを継承する形で現代性を俯瞰,それらに対称化される「日本」という存在を見つめています。

研究者情報 神戸大学研究者紹介(KUID)
教員サイト
研究室紹介 自身に向き合い-表現するダイナミズムを自分のものに

「ひとつぶの砂にも世界を,いちりんの野の花にも天国を見,きみのたなごころに無限を,そしてひとときのうちに永遠をとらえる。」これは偉大なる詩人であり画家・銅板画家であるウィリアム=ブレイク(イギリス)の詩です。
時間的に永遠,空間的に無限,そうした「普遍的」な価値を描きあらわすことを、古今東西の芸術家(画家)たちは求めてきたのかも知れません。しかしそうした価値であり可能性というのは特別な才能などではなく,実は誰にでも備わっているものなのです。
人間である限り「無限の宇宙(可能性)」が胸中にあります。その各々の宝庫の引出しを「絵画」表現を通じて開いていってもらいたいのです。私はそうした実践をあくまでも重要視し,皆さんには創作活動を「経験」してもらいます。それらは決して楽なことではありません,しかしその「経験」こそが骨肉となり,何にも替え難いあなただけの「人生の価値」となることでしょう。

研究最前線 現代の絵画― 抽象表現をとおして追求する絵画の本来像

絵画が宗教や文学から自立し,絵画そのものの姿をあらわにしたのは19世紀後半以降のことで,なかでも20世紀中庸のアメリカ抽象表現主義が大きな変革点になります。絵画とはあくまでもフォーマリズム的な文脈(造形的かつ客観的な思考)から,描かれ,語られるべき内容であるはず,と私は考えています。しかし絵画の現状は,それとはかけ離れ,サブカルチャー・イメージの横行や,嗜好的な趣味として流布しています。その現在に敢えてフォーマルな表現実践と,それに裏打ちされた理論で,挑もうとしているのが私の理念です。
歴史的に絵画は「窓」でした,その窓から見える景色に,物語や宗教や哲学などを描き,情報を伝達してきました。19世紀後半以降の絵画は宗教性から離れ,絵画独自の道を模索します。その結果,絵画は物体である「壁」にまで変化し,挙句は可変性のある「膜」にまで辿り着くのです。私はそれらの歴史観を踏襲した上で,絵画とはひとつの「門:GATE」だと仮定し創作しています。境界であり(場合によっては象徴である),人を絵の内側に通すことのできる「門」という構造,現在の私の理想とする空間形式がそこにはあるのです。それには絵画として身体を超えた大きなスケールが必須条件となり,人間の身体性などがもつ意味も考慮せねばなりません。
また同時に理論面では,絵画が歴史的に「壁」に至る直前の形式でもあり,抽象表現の究極の様態である<オールオーバー(均質空間)>に注目し,価値を見出しています。そこには絵画の形式的または意味的な「終わり」と「はじまり」が同居しているのです。抽象表現主義の画家ジャクソン・ポロックなどに代表されるオールオーバー絵画が,その後にどう継承され,展開を遂げたか?遂げつつあるか?を多角的に検証しています。その究極の絵画は,日本でも独自の日本風土的ともいえる展開を見せつつあり,その有様は着眼すべき内容だと考えています。