本ウェブサイトは2022年3月末をもって閉鎖いたしました。このページに掲載している内容は閉鎖時点のものです(2022年3月)。

教員情報(KOYANO Yuki)

氏名・職名 小谷野 由紀(こやの ゆき,KOYANO Yuki)助教
メールアドレス koyano [at] garnet.kobe-u.ac.jp
取得学位 博士(理学)(千葉大学)
研究分野 非線形物理学,アクティブマター
[学部] 所属 人間環境学科
研究テーマ
[大学院] 所属 [博士課程前期課程] 人間環境学専攻, 人間環境学専攻 自然環境論コース
[#091;博士課程後期課程] 人間環境学専攻, 人間環境学専攻 自然環境論分野
[(#091;(旧)博士課程前期課程]
[(旧#091;(旧)博士課程後期課程]
研究テーマ

生物のような自発的に動き回るアクティブな物体やその集団について,それらに共通する物理的な性質を研究しています。

研究者情報
教員サイト
研究室紹介
研究最前線 非線形性が鍵となる多彩な現象を紐解く

1) 自己駆動粒子の運動に内在する分岐構造
単一の自己駆動素子の運動様式は,系の対称性に強く依存します。特に系が対称性を持つ場合には,実験系のあるパラメータを変化させていくと,ある閾値を境に運動する状態と静止した状態の安定性が切り替わることがあります。そのような安定性の切り替わりを分岐と呼びます。自己駆動系には,例えば,自己駆動粒子が複数個相互作用しながら時間発展するといった,より複雑な系が多く存在しますが,対称な自己駆動系の特徴の一つである分岐構造を明らかにすることにより,複雑な系を理解するための足掛かりを得たいと考えています。

2) 流動と拡散の協働現象
コーヒーとミルクを混ぜるとき,スプーンやマドラーを使ってかき混ぜると思います。しかし,そのまま放置しておいても少しずつ混ざっていきます。後者は拡散と呼ばれる現象です。コーヒーとミルクの例のように,二種類の流体が混合するには攪拌と拡散という二つの独立したダイナミクスがあります。ですが近年になって,撹拌能力のない流速場,すなわち,行ったり戻ったりを周期的に繰り返すだけの流速場が拡散を促進する現象が実験的に発見されました。理論的な説明はできるのですが,一般的なことはまだよくわかっていません。そこで,流速場と物質拡散の協働現象の一般的な知見を得ようとしています。ミクロなスケールでは拡散が流体の混合における支配的なダイナミクスである場合が多く,工業的にも重要な知見となることが期待されます。

3) 細胞内の物質拡散
生体内には様々な機能を果たすタンパク質があり,それらは化学エネルギーを消費して再帰的に形状変化します。そのようなアクティブなタンパク質が多数存在する細胞質では,拡散が促進されることが実験的に示されています。タンパク質が形状変化の際に細胞質内に流動を起こすと仮定して立てたモデルを解析すると,複数のタンパク質が引き起こす流動によって拡散が促進することがわかります。ただ,アクティブな素子が協働的にもたらす効果は,はっきりとわかっていないことも多く,現在,様々な可能性について検討を行っています。