本ウェブサイトは2022年3月末をもって閉鎖いたしました。このページに掲載している内容は閉鎖時点のものです(2022年3月)。
教員情報(KUWAMURA Masataka)
氏名・職名 |
桑村 雅隆(くわむら まさたか,KUWAMURA Masataka)教授 |
メールアドレス |
kuwamura [at] main.h.kobe-u.ac.jp |
取得学位 |
博士 (理学) (広島大学) |
研究分野 |
応用解析学 |
[学部] 所属 |
人間環境学科 数理情報環境論コース |
研究テーマ |
物理学,化学,生物学などに現れる問題を解析学 (微分積分学を基礎としている数学の一分野) とコンピュータシミュレーションを利用して調べています。
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[大学院] 所属 |
[博士課程前期課程] 人間環境学専攻 数理情報環境論コース
[博士課程後期課程] 人間環境学専攻 数理情報環境論分野
[(旧)博士課程前期課程] 人間環境学専攻 数理情報環境論コース
[(旧)博士課程後期課程] 人間環境学専攻 数理情報環境論分野 |
研究テーマ |
物理学,化学,生物学などに現れる非線形微分方程式を分岐理論や力学系理論とコンピュータシミュレーションを利用して調べています。
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研究者情報 |
神戸大学研究者紹介(KUID) |
教員サイト |
教員のウェブサイト |
研究室紹介 |
故きを温ねて新しきを知る~解析学とコンピュータの活用
微分積分学はニュートンとライプニッツによって17世紀に確立されたのですが,その萌芽ははるか昔にあったのです。実際,紀元前3世紀にアルキメデスは「取り尽くし法」とよばれる積分法とよく似た方法を用いて平面図形の面積を求めています。17世紀以降,微分積分学は多くの数学者の努力により現代の解析学へと発展していきます。私たちの研究室では,物理学,化学,生物学などに現れる基本的な問題に対して,解析学とコンピュータを利用して地道に取り組んでいます。それらは一見すると,流行の理論や最新の技術というよりも使い古された感じのするものです。しかし,それゆえに信頼して利用できるのです。まさに故きを温ねて新しきを知るという感じです。
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研究最前線 |
個体群ダイナミクスの研究~非線形微分方程式の解析
動物性プランクトンの一種であるミジンコ (捕食者) は,主に植物性プランクトン (被食者) を食べて生活しています。ミジンコは通常の環境では無性生殖による繁殖 (単性卵の産生) を行いますが,餌不足のような厳しい環境では有性生殖により休眠卵を産むことが知られています。休眠卵はすぐには孵化せずに,環境条件の悪い期間を回避しているのです。ミジンコの個体数変動が休眠卵の産生によって抑制されることは,休眠卵をもつ親個体を通常の単性卵をもつ親個体に置き換える実験によって検証されました。それは,一般に被食者-捕食者という関係からなる2種個体群において,捕食者の休眠が個体数変動を抑制する効果をもつことを示唆するものでした。
私たちの研究室ではロトカ・ボルテラの被食者-捕食者モデルとよばれる2変数の常微分方程式に休眠状態の捕食者を表す変数を1つ付け加えた3変数の常微分方程式を考え,捕食者の休眠が被食者-捕食者の個体数変動に与える影響を数学的に解析しました。古典的な2変数のロトカ・ボルテラ方程式においては,環境収容力とよばれるパラメータの値が大きくなると,大きな振幅をもつ周期振動解が観察されるのですが,捕食者の休眠状態を考慮した3変数の常微分方程式では環境収容力の値をある程度大きくしてもそのような周期振動解は観察されません。このことは,捕食者の休眠が被食者-捕食者の個体数変動を抑制する効果をもつことを数学的に示したものといえるでしょう。また,ある条件の下では共存平衡点と周期振動解が同時に観察されることや,mixed-mode振動やカオスといった複雑な挙動を示す解が現れることもわかりました。今後の課題はいろいろあるのですが,当面は,捕食者の休眠が被食者の個体数密度そのものの値によって引き起こされる場合 (consequential dormancy) と個体数密度の時間変化率によって引き起こされる場合 (predictive dormancy) の相違点を明らかにしていきたいと考えています。
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