本ウェブサイトは2022年3月末をもって閉鎖いたしました。このページに掲載している内容は閉鎖時点のものです(2022年3月)。

教員情報(NAGASAKA Kosaku)

氏名・職名 長坂 耕作(ながさか こうさく,NAGASAKA Kosaku)准教授
メールアドレス nagasaka [at] main.h.kobe-u.ac.jp
取得学位 博士 (理学) (筑波大学)
研究分野 計算機代数
[学部] 所属 人間環境学科 数理情報環境論コース
研究テーマ

数値・数式融合計算 (パソコン上で様々な計算を行うために必要な理論研究やプログラミングによる実現) と,その応用 (ICTによる様々な分野への展開) について研究しています。

[大学院] 所属 [博士課程前期課程] 人間環境学専攻 数理情報環境論コース
[博士課程後期課程] 人間環境学専攻 数理情報環境論分野
[(旧)博士課程前期課程] 人間環境学専攻 数理情報環境論コース
[(旧)博士課程後期課程] 人間環境学専攻 数理情報環境論分野
研究テーマ

数式処理の理論研究(主に数値・数式融合計算)とその効率的な実装方法や情報システム(主に数式処理システム)を活用した他分野への展開について研究しています。

研究者情報 神戸大学研究者紹介(KUID)
教員サイト 教員のウェブサイト
研究室紹介 パソコンに数学をさせることで,魔法のようなことを実現しよう

「Any sufficiently advanced technology isindistinguishable from magic. (意訳:進歩した科学技術は,魔法のように見える)」とは,SF作家アーサー・C・クラークが定義した第3法則です。実際のところ,我々の社会の至る所で活躍するコンピュータは,まさに魔法のような機械と言っても過言ではないでしょう。しかし残念ながら,コンピュータは魔法の力で動いているわけではありません。地道な要素技術 (数学や工学など) の組み合わせによって実現されているものです。例えば,コンピュータに数学の問題を解かせるためには,コンピュータに数学を理解させるところから始める必要があります。私のゼミでは,数式や数値の計算方法とウェブなどの情報技術を組み合わせることで,実社会の複雑化した問題をコンピュータを介して克服しようとしています。学生には,魔法の追求ではなく地道に知識を積み重ねることで,数理科学を深く理解して欲しいと思っています。

研究最前線 数値・数式融合計算の研究~誤差に埋もれても情報は失われていない

自然科学や社会科学など,色々な学問分野での事象 (例えば,光学レンズの設計や金融商品の開発) の数理的な解明を厳密に行うとき,数式処理は単なる数値計算では不可能な様々な計算を可能にすることで,研究を支援します (実際,MapleやMathematicaなどの「数式処理システム」が,多くの研究者や技術者に利用されています)。例えば,近年の代数的な処理による設計支援ツールやロバスト最適化プラットフォーム,制御理論における数式処理の活用など,数式処理の成果は産業界での重要な技術や理論として結実しています。しかしながら,我々を取り巻く実際の現場において,誤差のない理想的な環境を対象とすることは少なく,不可避な誤差 (計測,通信,入力など様々な原因による誤差) に対応する必要があります。これを実現しようとするのが数式処理の拡張である「数値・数式融合計算」です。

私たちの研究室では,先天的な誤差を持つ代数方程式 (多項式で表現される連立方程式) が誤差のために適切な解を持たなくなってしまう問題に取り組みました。本来であれば重要な情報を得られるはずが,不可避な誤差に貴重な情報が埋もれてしまうという問題です。代数方程式を解く方法の1つとして知られるグレブナー基底の計算では,ブッフバーガーアルゴリズムが使われますが,その計算過程は行列としても表現可能です。そこで,この問題を構造化低階数近似 (Structured Low Rank Approximation) に帰着させることで,誤差に埋もれた情報を当該行列から回復することが可能であることを示しました。今後の課題としては,適用可能な問題を広げることや計算効率の向上などがあり,離散的な誤差への数値・数式融合計算の拡張や実用に耐えうる実装の実現なども視野に入れ,これらの課題に取り組んでいきたいと考えています。

メッセージ

社会で活きる能力というのは、文系や理系といった旧来の枠組みの外に存在すると思います。いま、どの教科の勉強が出来るとか出来ないとかではなく、これから何をしたいのかを良く考えて、将来の進路を選んでみてはどうでしょうか。