本ウェブサイトは2022年3月末をもって閉鎖いたしました。このページに掲載している内容は閉鎖時点のものです(2022年3月)。
教員情報(NAKATANI Natsuko)
氏名・職名 |
中谷 奈津子(なかたに なつこ,NAKATANI Natsuko)准教授 |
メールアドレス |
nakatani-n [at] silver.kobe-u.ac.jp |
取得学位 |
博士(学術)(金城学院大学) |
研究分野 |
保育学、家族関係学 |
[学部] 所属 |
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研究テーマ |
認定こども園など保育施設における保護者支援,子育て支援の研究をしています。子どもの最善の利益と家族の幸せに寄与する保育者の役割,保育施設の役割を考えています。
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[大学院] 所属 |
[博士課程前期課程] 人間発達専攻 学び系講座
[博士課程#091;博士課程後期課程] 人間発達専攻 学び系講座
[(旧)博#091;博士課程士課程前期課程]
[(旧)博#091;(旧)博士裫課程後期課程] |
研究テーマ |
保育施設には多様な家庭背景を持つ子どもがいます。家庭における生活課題の早期発見・早期対応と継続的な家庭支援のための専門性や役割,組織のあり方について考えています。
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研究者情報 |
神戸大学研究者紹介(KUID) |
教員サイト |
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研究室紹介 |
子どもが生まれ,育ち,また親になる。それを社会や地域どう支えるか
家族,家庭生活,子どもの育ちという観点からすると,私たちの身近な地域,社会はどのように見えるでしょうか。私たちの目の前の生活には,社会全体の意識や制度などはあまり影響していないように感じられるかもしれませんが,実はそれらは密接に関連しているし,時代や人々の意識とともに少しずつ変容しています。例えば,かつて保育所は「必要悪」といわれ,政策的に保育所の設置が抑制された時期がありましたが,これは,「3歳までは母親が家庭で子どもを育てるべき」という母親規範が社会的に非常に強く,保護者や周囲の人々もその規範を強く内面化していたことを表わしています。
この研究室では,そうした社会と生活,子どもの育ちについて意識しながら,特に「子どもの最善の利益」や「家族のwell-being」を志向する支援のあり方を模索していきます。子どもが生まれ,育ち,また親になる。それを社会や地域どう支えるか。一緒に考えてみませんか。
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研究最前線 |
子どもの養育の場である家庭を,保育施設が「組織」として支える
都市化,核家族化,グローバル化が進行し,社会が急激に変動する中で,雇用の流動化・不安定化が加速し,生活困窮家庭や生活保護受給者の増加が顕著となっています。子どものいる世帯の経済的な脆弱さが指摘され,子どもを育てる生活基盤そのものの弱体化から,虐待やネグレクトといった不適切な養育,教育格差の問題など,さまざまな子育て課題を引き起こしています。不安定な生活基盤の上に,離婚や介護,親の精神疾患,外国籍の問題などが重なると,生活の困難は次々と湧出・連鎖し,複合的な問題として絡み合い,課題解決はより複雑,困難になっていきます。保護者の疲弊や困難感は,意図する/しないにかかわらず,結果として子どもの生活に影響を及ぼし,深刻な場合は暴力や放任という形で子どもに向けられることとなるでしょう。そうした多様で複合的な生活課題に対して,現在,包括的,個別的,早期的,継続的な支援が求められています。
保育所,認定こども園,幼稚園などの保育施設では,日常的な見守りや観察から,保護者の危機的な生活課題について「待ちの姿勢」ではない早期発見が可能です。「制度の狭間」に陥らないよう問題を包括的にとらえ,個別的に介入し,具体的な直接支援や他の社会資源との連携などにより,課題が深刻になる前からの問題解決にむけた継続的な取り組みが見込まれます。このことは,保育所等における保護者支援が,生活困難家庭の生活基盤の安定化に寄与する可能性を持つことを意味します。
一方で,保育者個人で担える保護者支援や家庭支援には限界があります。保育者一人による支援というよりも,保育所等が「組織」としての体制づくりを行い,保育者同士の園内連携体制の構築を目指し,効果的な組織的マネジメントを行っていく必要があります。生活困難家庭に対する保育所等における組織的支援に関する実践理論を追求することが求められているのです。
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