本ウェブサイトは2022年3月末をもって閉鎖いたしました。このページに掲載している内容は閉鎖時点のものです(2022年3月)。

教員情報(OTA Kazuhiro)

氏名・職名 太田 和宏(おおた かずひろ,OTA Kazuhiro)教授
メールアドレス otak [at] kobe-u.ac.jp
取得学位 社会学修士 (一橋大学)
研究分野 途上国政治経済
[学部] 所属 人間環境学科 社会環境論コース
研究テーマ

グローバル社会の抱える諸問題を発展途上国に焦点を当てて研究しています。特に開発政策と政治構造のあり方について検討しています。

[大学院] 所属 [博士課程前期課程] 人間環境学専攻 社会環境論コース
[#091;博士課程後期課程] 人間環境学専攻 社会環境論分野
[(#091;(旧)博士課程前期課程] 人間環境学専攻 社会環境論コース
[(旧#091;(旧)博士課程後期課程] 人間環境学専攻 社会環境論分野
研究テーマ

グローバル社会の抱える諸問題を発展途上国に焦点を当てて研究しています。特に開発政策と政治構造のあり方についてを検討しています。

研究者情報 神戸大学研究者紹介(KUID)
教員サイト 教員のウェブサイト
研究室紹介 グローバル社会に求められる視点と分析力を養う

「不可能だと思えばそこで思考は止まる,可能だと思えば必ず解決策は見つかる。」2009年神戸大学で講演をされたノーベル平和賞受賞者ムハマド・ユヌス氏の言葉です。急速にグローバル化する社会に出ていかざるを得ないこれからの若い人たちは一見不可能と思われる課題に多く直面します。そこで要求されるのは,自分なりの確固とした視点と,変化する状況に対する分析力でしょう。学びを自分の生活に結びつけてこそ,グローバル社会で求められる資質が形成されると言えます。私のゼミでは途上国の開発や貧困問題をテーマにとりあげ,現実のグローバル社会に生じている課題とどう向き合うかを学んでいます。外国語文献を読むのは当然ですが,海外調査,アジアの学生や人々との交流なども行ってきました。中には途上国NGOとのフェアトレードなどを通じて,現実の問題に実践的に関わる学生もいます。卒業生が問題意識を持ちながら日本や外国のNGOや外務省,そして民間企業など様々な分野で活躍してくれていることが私の喜びです。確かな視点と分析力を以て「解決は可能だ」という姿勢の学生がどんどん育ってほしいと願っています。

研究最前線 現実社会と対峙した知的チャレンジを!

フィリピンにおける貧困問題,貧困政策を軸に国家のあり方について研究をしています。なぜフィリピンでは貧困問題が解決しないのか。一見単純なこの問題の背景に,さまざまな社会関係や利害構造がひそんでいます。フィリピンは他の途上国に比較しても政府が組織的に貧困対策に取り組んでいます。世界銀行や国連などの国際機関の支援活動も積極的に行われています。さらにNGOなど市民運動が広く展開しています。にも拘らず,貧困の解消は他国に比して緩慢です。こうした相矛盾するひとつひとつの要素を読み解きながら分析を試みています。国家機能,国家・市場関係,市民社会構成などに分節化しながら問題の所在を探っています。さまざまな問題を掘り下げて検討してみると,常識的理解のみならず一般的学問領域における共通理解さえも,さほど自明でないという場面にしばしば遭遇します。例えば,政府政策が決定され施行された際に,多くの社会構成員がそれに従うことが求められ,またそれを前提に学問的思考も成り立っています。しかし,フィリピン社会の現実を見てみると,政策ができたものの多くのものがそれに従わないばかりか,政策を決定した当の本人らがそれを履行する意思すらなく,むしろその政策を利用して自らの利益に供してしまうことがよくあります。国家機能の基本的部分が前提された状況と大きく異なるわけです。

さてそれをどう考えるかです。実態を規範的国家機能の「不足」,つまりフィリピン国家の「不十分さ」とみなすのか,あるいは国家機能の前提そのものを流動的に捉え国家のあり方自体を疑うべきなのか。ああでもない,こうでもないといつも悩みながら,同時に思考することを楽しくも感じます。

学問とは現実に進行する実態の本質をどのように読み取り,そして実社会にどのように還元していくのかという知的作業です。領域は違えど,そんな知的挑戦をぜひ多くの方にしてもらいたいと願っています。