スタニスラフスキーは俳優を育てる独自の教育システムを開発し集大成した。このシステムが日本に紹介されたのは1950年 代に遡るが,さまざまな曲解があり,その理論と実践の持つ射程について,未知の領域が残っている。『俳優の仕事』全3部の翻訳を初めて完成させた堀江新二氏らのグループは,本邦で初めてこのシステム にもとづいた演劇学校を設立し,俳優を育てている。スタニスラフスキーは,俳優が舞台上で役を生きること,役と台本に描かれた「人間の精神生活」を作るために,訓練システムを形成していった。身体的行動と筋肉の解放を通して,役の感情と無意識を発見していく方法は単に演劇表現の実践理論ではなく,人が人と十分に交流し,生きるための方法と理論である。舞台は真実の行動が行われる場なのである。ここに心理学,教育学,行動科学との交差領域が拓かれる。このシンポジウムでは,基本的なワークを実際に行いながら,演劇と心理学の交差領域を探りたい。
開催について
- 日時
- 2015年10月31日(土) 13:00~18:00
- 場所
- 神戸大学発達科学部 B104(B棟1階)
- 対象者
- 学部学生,大学院生,教職員,一般
- 主催
- 神戸大学大学院人間発達環境学研究科 学術Weeks2015
- 共催
- 基盤研究(A)「生活史法を基盤とした臨床物語論の構築と公共化」
- 問い合わせ先
- 森岡正芳
morioka [at]crystal[dot]kobe-u [dot] ac [dot] jp
イベントの概要
- 講義 堀江新二(TCL大阪 所長,大阪大学名誉教授)
- 「スタニスラフスキー・システムの基本的な考え方」
- 実習 八木延佳(TCL大阪教務主任,ドラマティーチャー)
- 「スタニスラフスキー・システムの基本ワーク」
- 総合討論
- 「スタニスラフスキーと心理学」