環境問題に根本から取り組もうとするならば,自然の成り立ちや法則を本質から理解することが必要不可欠です。特に現在は,人類が宇宙へと本格的に足を踏み入れた宇宙時代の黎明期とも言うべき時代です。人類がこの時代にふさわしいアイデンティティーを確立できるか否かは,宇宙の創成と進化,太陽系や地球の形成の歴史,さらに物質の化学進化を経て生命の誕生と進化に至る壮大な歴史と,その中の個々のプロセスとを科学的に解明してはじめて得られる,透徹した認識にかかっていると言えるでしょう。環境問題の根本への取り組みも,こうした広い認識があって初めて可能となるのです。だとするなら,現在求められているのは,物理,化学,生物,地学など旧来の学問枠組にとらわれず,対象によって自分自身のポジションを自在に変えながら,広い視野から状況に応じた解決策を見出すことに他なりません。このような考えのもと,自然環境論コースでは,環境破壊などの身近な問題だけでなく,地球や宇宙の様々な場での物質と生命の多様な現象を本質から理解するための授業科目を用意しています。このコースでは,早くから自分の専門分野を限定せず,自然科学の様々な方法論の基礎を習得する事に特色があります。高学年次では,具体的な問題をより深く追求するため,環境物理学,物質環境,地球環境,生物環境の4つの教育研究分野から2つを選び,さらに専門的に学習,研究します。4年生になると具体的な課題を決めて研究の訓練をすることになります。そのときには,生物学と化学,生物学と地球科学,化学と物理学などの境界領域の研究や環境問題の背後にあるより基礎的なテーマについての研究も可能です。