人間のあらゆる営みを,「表現」をキーワードに解明する
私たち人間は,遥か古の時代より,思考や感情を表現しようとする欲求に駆られて,さまざまな文化を生み出してきました。なかでも,音楽や造形,舞踊といった創造的表現はすぐれて人間的な行為であり,人間を語り,理解するうえで欠かすことのできない重要な営みです。こういった人間の表現について,私たちは,自ら「表現すること」を通じて,あるいは「表現することの意味」や「表現する行為そのもの」,「表現されたもの」といった重層的・複眼的な視点から総合的に探究していきます。そのために,人間表現学科では,まず人間の創造的表現に関する概論を中心とした(文化・芸術に関する)横断的科目群を幅広く履修し,人間の表現に関わる問題群へアプローチするためのさまざまな考え方や方法を多面的に学びます。こうした横断的な一連の学習の成果を参照しつつ学ぶ方向性を見定め,個別の表現領域に軸足を置いた専門科目群の履修を通じて,より専門的に学んでいきます。
たとえば,音楽や美術・デザイン,舞踊に機軸を置いた実践的研究を通じて人間の創造的表現の可能性を多面的に追求したり,あるいは個別の表現領域の枠を超えた総合的な表現の創造に挑戦することも可能でしょう。また建築,デザイン,メディア,ファッション,音楽文化といった近現代において独自の展開を見せてきた人間の創造物や表現行為に関わる歴史や物質文化を,政治や経済,社会,技術といった様々な文脈から学ぶことも可能でしょう。あるいは,音楽療法やダンス療法などの諸芸術療法,感性や心理をもとにした新しいアート・ヒューマンインターフェースの可能性を探ることも可能でしょう。
このように,私たちは,人間の様々な表現や創造活動についての幅広い知識と技術を身に付け,研究,創造及び社会実践に関する優れた能力を有する人材の養成に果敢に挑戦したいと思っています。