2017年度高度教員養成プログラムの研究成果を紹介します。
学術論文
- 若林和也・山口悦司(2017)「中学校理科の教師用指導書を対象とした教師の学習支援に関する分析:第1分野「電流とその利用」の事例」『日本科学教育学会研究会研究報告』第32号,第5巻,1-6.[審査なし]
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発表者:若林和也 山口悦司 坂本美紀 山本智一 稲垣成哲
題目:科学技術の社会問題を扱った授業デザインの基礎的研究(1):Friedrichsenらの教授モデル
学会名:日本理科教育学会第67回全国大会 福岡大会
場所:福岡教育大学キャンパス
発表要旨:本研究は,科学技術の社会問題(Socio-Scientific Issues: SSI)を扱った授業デザインの基礎的研究である.SSIとは,複雑であり論争やジレンマなどを含んだ社会的な問題の中でも,科学や科学技術に関連したものを指している(坂本・山口・西垣・益川・稲垣,2016)。例えば,遺伝子工学に関する問題やワクチン接種問題や地球温暖化問題などである。本稿においては,SSIを扱った授業デザインの原理的な指針となる教授モデルの中でも,Friedrichsen, Sadler, Graham, and Brown (2016) のモデルを概観する。 -
発表者:若林和也 山口悦司 坂本美紀 山本智一 稲垣成哲
題目:科学技術の社会問題を扱った授業デザインの基礎的研究(2):Presleyらの授業フレームワーク
学会名:日本科学教育学会第41回年会
場所:サンポート高松
発表年月日:2017年8月30日(水)
発表要旨:本研究は,科学技術の社会問題(Socio-Scientific Issues: SSI)を扱った授業デザインの基礎的研究である.本稿においては,SSIを扱った授業フレームワークの中でもPresleyら(2013)のフレームワークを概観する。このフレームワークには3つのレイヤーが存在している。3つのレイヤーとは,コア・アスペクト,学級環境,周辺的影響,である.コア・アスペクトは,「デザイン要素」「学習活動」「教師の特徴」の3種類に分かれている。 -
発表者:Kazuya Wakabayashi & Etsuji Yamaguchi
題目:Teacher learning supports in Japanese science curriculum materials for secondary school
学会名:The 12th biannual conference of the European Science Education Research Association (ESERA2017)
場所:Dublin, Ireland
発表年月日:2017年8月23日(水)
発表要旨:Davis and Krajcik (2005) proposed the theoretical concept of educative curriculum materials as curriculum materials that can support teachers’ learning. Although it has been confirmed that educative curriculum materials can support teachers’ learning, it is not yet fully understood whether the existing curriculum materials have the features of educative curriculum materials that can support teachers’ learning. The purpose of this study is to analyse curriculum materials of secondary schools that has yet to be analysed in previous studies. By conducting an analysis of the curriculum materials that are for different stages of schools of previous studies, it is expected to discover curriculum materials that have different features from the ones examined previously. The subject of this study are the curriculum materials published by two of five publishing companies have the highest share in Japanese secondary schools. The science topic is ‘electric current’ that the new content was added with the 2008 revision of the national curriculum. Based on the results, the characteristics of teachers’ learning support provided by curriculum materials in Japanese secondary science were found to be supportive with respect to implementation guidance and PCK for science topics. This is a unique feature that was not found in curriculum materials for elementary or high school science, which were analysed in previous studies. -
発表者:佐野孝
題目:潜在クラス分析を用いた跳び箱運動切り返し系技の出来栄えを評価する動作パターンの検討
学会名:第68回日本体育学会
場所:静岡大学 静岡キャンパス
発表年月日:2017年9月10日(日)
発表要旨:跳び箱運動の指導においては,跳び箱を跳び越すための指導だけでなく,技の習熟段階をより詳細に評価し,技の安定感や大きさなど,動作の発展や出来栄えに合わせた指導を行うことが重要である。本研究では,小学生の「開脚跳び」及び「かかえ込み跳び」について,技の出来栄え評価に活用できる動作パターンを潜在クラス分析により導出するとともに,その動作要因を検討することを目的とした。その結果,「開脚跳び」では5つ,「かかえ込み跳び」では4つの動作パターンが導出され,主に踏切・着手・着地において各パターンを特徴付ける動作要因が見られることが明らかとなった。また,動作パターン間で,技の大きさの指標となる空中局面の滞空時間に差が見られたことから,跳び越しが達成されても,技の出来栄えという観点から,さらなる動きの改善が必要となる動作パターンが存在することが明らかとなった。 -
発表者:清山莉奈 北野幸子
題目:行政による保護者への保育情報の公開に関する研究
学会名:日本乳幼児教育学会第27回大会
場所:西南学院大学
発表年月日:2017年11月12日(日)
発表要旨:保育に関する情報公開への注目が高まっている。多くの国が保育施設の質に関する情報へのアクセスを向上させており,施設の第三者評価の結果が保護者の施設選択の参考となっている。日本では,監査や第三者評価の実施方針,頻度,実施率,評価基準,評価者の養成,結果の公表の有無,公表する項目などは地方自治体によって異なっている。情報公開を行う責任は国と地方自治体の両者にあるが,その役割の分担や公開の方法など情報公開の在り方についての議論は手薄であると考える。そこで本研究では,文部科学省,厚生労働省,内閣府による情報公開の実態と地方自治体による情報公開の一実態を明らかにし,行政による保育情報の公開の在り方について論じることを目的とした。結果として,情報の対象者が保護者であることを明確にすること,施設形態にかかわらず情報を一元化すること,保護者の役割再考し情報提供の在り方を検討する必要性が示唆された。 -
発表者:古賀志津香 北野幸子
題目:家庭との連携を深める園内研修の工夫―養成教育とつながりのある初任者研修の検討を中心にー
学会名:第2回日本保育者養成教育学会研究大会
場所:共立女子大学 神田一ツ橋キャンパス
発表年月日:2018年3月4日(日)
発表要旨:乳幼児教育の専門職である保育者は,家庭の子育てをより豊かにするために,園における日々の保育やこどもの育ちの姿の情報を発信しながら家庭と連携する力量が求められる。そこで本研究では,初任者保育教諭を対象にインタビュー調査を行い,家庭との連携に関わる内容について養成教育で何を学んだのか,その実態を明らかにする。そしてその結果を踏まえて,家庭との連携を深めるために,初任者対象の園内研修において必要と考えられる内容を検討した。養成校で学んだ「家庭との連携」に関する学びは,特別なニーズ,問題行動,相談援助技術に関しての項目が取り入れられている傾向がみられた。初任者保育教諭は,特別なニーズを抱える家庭との連携の在り方や相談支援の場面に出会うことは多くなく,全ての家庭に日常的にみられるこどもの学びや育みたい力を通して,連携していく技術に関する課題意識が多く見られた。全てのこどもとの家庭との連携という観点にたてば,乳幼児がどの時期にどのような学びや経験がなされているかという項目に関して,養成校にてより取り入れていくことが今後望まれていくのではないかと考えられる。 -
発表者:佐野孝,國土将平
題目:小学生における開脚跳び動作の熟達度評価とそれに合わせた指導観点の検討
学会名:日本発育発達学会第16回大会
場所:明治大学 駿河台キャンパス
発表年月日:2018年3月10日(土)-11日(日)
発表要旨:跳び箱運動の開脚跳びについては,技の成否だけでなく,技の出来栄えを含めた動作の熟達度を詳細に評価し,指導を行うことが重要である。また,小学校における技の指導では,学年ごとの動作の特徴や次に学習する発展技との系統性を考慮する必要がある。そこで本研究では,小学生の開脚跳び動作を,技の熟達度を示すパターンに類型化し,各学年の動作の特徴やかかえ込み跳び動作との関連を明らかにすることで,技の動作発達及び系統性を考慮した指導観点を検討することを目的とした。その結果,開脚跳び動作は,潜在クラス分析により「失敗型」,「腕動作依存型」,「着地不安定型」,「安定試行型」,「切り返し出現型」の5つに類型化できた。学年ごとの動作パターンの出現率と,開脚跳びパターンごとのかかえこみ跳びの成功率をそれぞれ比較し,指導観点を検討した結果,3年生では跳びこしに向けた指導,4・5年生では技の発展に向けた踏切動作の指導,6年生では安定した着地動作の指導が重要になることが明らかとなった。