自分を通じて社会を考え,社会に向けて自分を考える
城山 航 さん(前期課程2年生)
「社会環境論コースって何を勉強するの?」私がいつも困ってしまう問いです。所属学生も国籍から年齢,経歴まで様々ですし,一言で「社会環境」といっても範囲は広く,憲法や地方自治など複雑な制度の問題を学ぶ学生もいれば,観光やボランティアなど身近なことを研究する学生もいるのです。私はといえば,E.フロムという人の思想を研究しています。研究では彼の著作に向き合います。彼に限らず深く思考された文章に触れると,わからないなりに何か感じるところがあるものです。演習などで発表や議論を行うと,その「何か」に多様な角度から光が当てられ,それをとらえる言葉が見つかります。自分が何かに触れて,感じたことを考え,言葉にする。それは自分について考えることであり,自分と触れたものと言葉を通じて社会を考えること。自分を通じて社会を考え,社会に向けて自分を考える ―社会環境論コースで学べるのは,つまりそういうことのようです。
案内パンフレット『神戸大学発達科学部・神戸大学大学院人間発達環境学研究科2013』 より