スポーツプロモーション研究室のメンバー
「マスターズ甲子園」は,全国の高校野球OB/OGが,性別,世代,甲子園出場・非出場,元プロ・アマチュア等のキャリアの壁を越えて出身校別に同窓会チームを結成し,全員共通の憧れであり野球の原点でもあった「甲子園球場」で白球を追いかける夢の舞台を目指そうとするものです。全国200万人と推計される元高校球児による各地域でのOB/OG野球クラブの活性化,生涯スポーツとしての野球文化の発展,熟年(マスターズ)世代と共に高校球児を含めたユース世代にも応援メッセージを発信しながら,活力と夢に満ちた個人・地域・社会・未来への創造と発展に寄与していくことを開催目的とし,人間発達環境学研究科・発達科学部の教員,職員,学生が中心となって産官学民の連携体制により2004年から第1回大会を始動しました。大会事務局と主催団体である全国高校野球OBクラブ連合の事務局を学部内のスポーツプロモーション研究室に併設し,神戸大学による後援のもと,大学による社会貢献活動とアクションリサーチを展開すると共に,スポーツ振興や生涯教育,老年学等のテーマに興味を持つ大学生が,成人・中高年のスポーツ活動支援や生きがい創造支援への直接的関与を可能にしていくための,学内外における学習機会として機能していくことを目指しています。
このマスターズ甲子園は,元高校野球児の共通の憧れであった甲子園球場というメッカを新たな生涯スポーツの舞台として復活させるプロジェクトであり,各地での予選大会の開催や同窓会組織の発足等をとおして地域社会を巻き込む豊富な内実を備えています。現在,大会事務局が運営する全国高校野球OBクラブ連合には34都道府県,約500のOB校による約2万人が登録し,各地方組織と本大会を支える各種民間団体や行政組織との連携事業として本プロジェクトを進めています。
また,マスターズ甲子園は,「個人のライフスタイルの活性化」だけでなく,「生涯スポーツ文化の振興」「世代間交流を通した地域再生」「スポーツを通した文化の継承」など成熟社会の諸課題に対応した有意義かつユニークな試みとして,マスコミはじめ各方面から賞賛され,その社会的貢献度の高さが指摘されています。大会を支える側についても,社会的注目度は高くなっています。参加する学生・院生は,組織運営に関わる諸活動をとおして「人間発達」の支援方法を実践的に学習しますが,同時に,多くの人間的な交流を経験するなかで自らも大きく成長していきます。こうした過程の有意味性は作家・重松清氏も高く評価し,「アゲイン」として小説化され,さらにこれが原作となって「アゲイン 28年目の甲子園」として映画化されました。映画ではマスターズ甲子園を舞台とした元高校野球部チームの結成と甲子園出場までの奮闘,それを支える本神戸大学発達科学部の大会事務局ボランティアを演じる女子学生を中心とした人間ドラマが描かれ,本学部キャンパスも撮影が行われました。今後,マスターズ甲子園は,毎年11月に秋の甲子園大会として開催され,神戸大学生と卒業生,さらには全国からの大学生ボランティアが集まり本大会を支えていきます。