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高度教員養成セミナー 報告 (第2回~第5回)

第2回 報告


題目
アクションリサーチによる実証的研究-行為の省察を通した「子供の認識」の解釈-
講師
坂井武司(鳴門教育大学准教授)
会場
発達科学部 A325(A棟3階)
日時
平成27年10月16日(金)17:00~
報告
本セミナーでは,アクションリサーチによる実証的研究の意義や方法について,坂井先生の研究を例にご講義いただいた。アクションリサーチとは教師の専門性と教育の質の向上という意義のもと,PDCAサイクルに理論と実践の相互フィードバックを加えた実証的サイクルである。そのサイクルを何度も行き来しながら,研究を進めていく。その中で,子どもの行為を正確に観察し,省察(Reflection on Action/Reflection in Action)を行い,仮説の設定や新たな問いを立てるということが重要である。また,「フィリピン算数教育における児童のつまずきに関する研究」を説明していただく中で,実際の調査問題や結果を見ながら,フィリピンの子どもの実態やデータの見方について学ぶことができた。
「理論と実践の融合」という言葉を具体的に解説していただき,受講生はアクションリサーチのイメージが湧いたのではないかと感じられた。教師の専門性を向上させるという課題から,私たちは現場から問題点を見つけそれを理論に基づいて分析,改善,修正し,また現場に還元するというサイクルが重要で,将来教育現場に出たとしても,その姿勢を忘れてはならないということを再認識した。また,今後もアクションリサーチを進める上で,子どもへの調査の結果を真摯に向き合うこと,特に研究者にとって都合の良い解釈をしないということは肝に銘じておかなければならないと感じた。(人間発達専攻 M1 広瀬優香子)

第3回 報告


題目
日本と香港の幼児教育,保育実践研究について語り・考える
講師
香港教育局・幼稚園園長40名
会場
発達科学部 大会議室(A棟2階)
日時
平成27年10月26日(月)15:30~17:00
報告
今回のセミナーでは,香港の教育局,幼稚園園長の方々と日本と香港の教育について英語でディスカッションを行った。英語でのコミュニケーション向上と他国の教育制度への関心の2点が刺激された。
英語で日本の教育システム等について伝えることの難しさを認識し,国際学会等,英語で自分の主張を伝えるような機会において十分に英語が操れるように英語力を向上させる必要性を再認識した。
また,香港の方々は日本の保育制度について関心が非常に高く,日本と香港の教育について実際に観察した内容などと比較検討し意見をだされていた。国の保育内容や制度を見直す際には,自国の教育内容だけでなく,他国の実情を知ることで得られる視点もあると改めて感じた。(人間発達専攻 M1 伊藤奈月)

第4回 報告


題目
これからの教員に求められる資質能力の向上について
講師
柳澤好治(文部科学省高等教育局大学振興課 教員養成企画室長)
会場
発達科学部 中会議室B(A棟2階)
日時
平成27年11月20日(金)17:00~18:30
報告
本セミナーでは,文部科学省高等教育局 大学振興課教員養成企画室室長の柳澤好治氏にお越し頂き,教員養成をめぐる今後の動きと神戸大学大学院生や教員養成大学・学校への期待についてお話をいただいた。
本セミナーでは,教員をめぐる今後の動向について,現在国でどのような審議が行われているかということが,中教審の議論のまとめや教育に関する様々なデータとともに示された。現代は,今後の教員養成のあり方や次期学習指導要領の改訂など,教員に関係する審議が多角的に行われている,いわば大きな変革期である。そのような時代の中で,これから教員になろうとする者として,まずは自分自身がアンテナを張って,社会の動向や学校以外の世界にも目を向けることが必要だと感じた。また,今まで自分が受けてきた教育を当たり前と思わず,学校を新鮮な目で見直すことで,学校の文化が持つ問題を改善し,今の時代に合った教育を行うことが必要であるということに改めて気付かされた。(人間発達専攻 M1 濵田悟子)

第5回 報告


題目
ライフヒストリー・アプローチを用いた授業研究
講師
松崎正治(同志社女子大学)
会場
発達科学部 A427(A棟4階)
日時
平成27年12月18日(金)17:00~18:30
報告
本講義では,同志社女子大学の松崎正治先生をお招きし,教師の経験や成長に焦点を当ててその実践の力などを描き出すライフヒストリー・アプローチについて紹介された。特に研究者として,実践者としての教師に関わり関係構築を模索されてきた経験を持つ松崎先生のお話は,講義を受けている教師志望や進学希望の院生にとって,具体的にイメージができる研究と実践の結び目として聴講されたように思う。
ライフヒストリー・アプローチに関しては,実践者の今ここの実践のみを見るのではなく,それまでに積み重ねられてきた教師としての文脈を重視するということの重要性が看取された。教育実践の中に生じている実践知を描き出し,それらを継承していくことを可能とする点にライフヒストリー・アプローチが大きな意義を持っていることが確認できた。
遠藤瑛子先生のライフヒストリー・アプローチ研究の実際では,遠藤先生の授業の様子や生徒のポートフォリオを拝見した。
なお,ライフヒストリー・アプローチの意義についての学びを通して,その研究方法の中に,児童の声などを取り入れた研究の発展の可能性も示唆された。
教育実践に携わる身として,未来の実践者として,共同研究者として,松崎先生が教師のライフヒストリーを描くような視点を知ることは,よりよい教育実践を目指す道筋の一つとしての貴重な経験であった。
(人間発達先攻 M2 船曵優斗)

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