有機化学+遺伝子工学+未知への好奇心=社会で活躍する物質
原 直己 さん (前期課程2年生)
近年の研究によりDNAは遺伝情報を担うだけでなく,触媒能をはじめとした様々な機能を持つことが分かりました。そこで私たちの研究室ではその機能性をより向上させるために,DNAに化学修飾を行った物質の設計と合成を行っています。
その一例として私たちはインフルエンザウイルスの感染を阻害する化合物を作っています。現在抗インフルエンザ薬として使用されているタミフルは,耐性を持つウイルスの出現により,薬が効かなくなる等の問題が生じています。しかし私たちが合成した化合物は,ウイルスがどのように変異しても効果を示すと見込まれています。さらにこれ以外のウイルスや病原菌に関しても,同様の方法で応用可能であると考えています。
人間環境を脅かすウイルスなどをターゲットにし,有機化学と遺伝子工学を組み合わせた研究はこの研究科ならではのテーマだと思います。いつか社会で活躍出来る物質が出来上がる日を目指して,研究に励んでいます。
案内パンフレット 『神戸大学発達科学部・神戸大学大学院人間発達環境学研究科2015』 より