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高度教員養成プログラム特別セミナー「保育実践研究と保育政策-つなぐ・つながる・きりひらく~協働の文化をつくるために-」報告

開催について

題目
保育実践研究と保育政策-つなぐ・つながる・きりひらく~協働の文化をつくるために-
講師
天野 珠路(日本女子体育大学)
会場
発達科学部 A423 (A棟4階)
日時
2012年6月22日(木)16:00~

報告

本講演では,実践と研究,実践研究と政策を結ぶための方法,多様な場面におけるプロセスの重視,保育者研修の充実,協働的指導と実践の理論化について解説された。具体的には,

1)実践と研究,実践研究と政策を結ぶ:保育界以外にもよい実践を伝えられるよう,具体的な子どもの発達を基に実践を言語化・可視化することの意義と課題,保育への公的資金のために保育理論とその価値を共有することの重要性

2)プロセスの重視:子どもの発達過程,保育の過程と連続性など,多様な場面における過程と連続性を大切にすることで持続的に共存しながら育ち合うことの重要性

3)保育者研修の充実:受動的ではなく能動的に研修に参加し,同僚とともに学び合い,成長していく保育者の姿勢と,それを可能にする保育者研修の充実について

4)協働的指導と実践の理論化:指導主事などの立場にある時,一方的な指導ではなく共感的な立場から援助的指導を行うことの重要性,よい実践を園外にも広め,相互作用に基づく知識や経験値を循環させる役割を果たす必要性について等であった。

 実践と研究,政策を繋ぐためには,実践を言語化・可視化し科学的な根拠を基に論じていかなければならない。本講演は,保育所や幼稚園での保育経験,横浜市保育課や厚生労働省専門官での具体的な経験に基づくものであり,実践を基にした研究を進める上での重要な手がかりとなった。また,自ら学ぶだけでなく,同僚と共に学び合い,実践の成果を具体的な子どもの姿を元に保護者や地域,社会に伝えることで,日本の保育の質,教育の質を高めていく重要性についても学ぶことができ,保育者を目指す身として,たいへん意欲が高まる講義であった。(教育・学習専攻 M1 中川 茜)