開催について
- 題目
- 幼少連携によるヘルスプロモーションの重要性と課題
- 講師
- 春日晃章 (岐阜大学教育学部准教授)
- 会場
- 発達科学部 A423 (A棟4階)
- 日時
- 平成24年11月25日(木)17:00~18:30
報告
本セミナーでは現代社会における子どもたちの体力低下問題に対して,研究者の視点だけではなく,経営者としてどう取り組んでいくべきかについての方向性を示して頂いた。概略は以下の通りである。
1) 子どもの体力低下問題として,走・投・跳(運動能力)の改善は見られないこと,小学校低学年では体力全般にわたって改善の兆候がないことが挙げられる。そのため,幼児期の子どもたちの体力・運動能力向上を達成することにより,子どもの体力低下を防ぐ可能性があると考えられる。
2) 子どもの体力低下問題に対して,行政面では「幼児期運動指針」を策定し,「幼児は様々な遊びを中心に,毎日,合計60分以上,楽しく体を動かす事が大切」であると述べている。この指針に基づき,幼児期における体力向上プログラムの教科が今後期待される。
3) 幼児期の子どもたちの体力・運動能力向上を達成するためには,各学年に応じた働きかけを行っていくこと,活動や調査の結果を家庭にフィードバックし,保護者の体力・健康に対する意識を向上させていくことが求められる。
4) 体力向上を幼児期だけのものとせず,幼児期と児童期の9年間にわたって発育発達が促されるような計画的な健康教育を可能な限り実践することが望まれる。そのためには,保育現場や教育現場に多大な負担をかけず,それぞれの取り組みをベースにしながらプログラムの連携を計ることが重要である。
セミナーの考察
本セミナーを通して,現代における子どもの体力低下問題の実情と,それに対する取り組みについて示唆を得る事ができた。
まず本セミナーにおいて紹介された幼稚園の取り組みのように,遊び環境への配慮が重要である。安全性などはもちろんであるが,いかにして子どもたちが自ら遊びたくなるような環境にしていくかということについて考える必要がある。また保護者との共通認識も持つ事が求められ,怪我などにたいする過度な配慮は,身体活動を阻害してしまうため,十分に注意しなくてはならない。
他の様々な分野と同じ様に,幼少連携を行い,長期的な身体発達を保証することが体力低下問題の改善に必要である。幼少連携を行う際には,それが交流のレベルにしかならないようにしなくてはならない。また,机上の空論にならないように,お互いの負担を最小限にするようなプログラムを提案していかなくてはならない。 (教育・学習専攻 M1 河内亮介)