開催について
- 題目
- 子どもの言葉とその育ち:小学校の実践から,国内外の大学院における教育実践研究へ
- 講師
- 辻 弘美 (大阪樟蔭大学教授)
- 会場
- 発達科学部 F253 (F棟2階)
- 日時
- 平成24年12月20日(木)17:00~18:30
報告
第7回定期セミナーは辻先生を講師として招き,「子どもの言葉とその育ち:小学校の実践から,国内外の大学院における教育実践研究へ 」をテーマに開催された。概要は以下の通りである。
1)読みの困難と音韻処理
話し言葉から書き言葉に以降する際につまづきの多い「読み」の困難の根本は音にあること,音韻処理が後の語彙獲得に影響することが研究によって明らかになった。研究結果を実践に生かすためには教師や保育者,保護者の音韻に対する意識や教育方法を高めなければならない。
2)心の理論と言語獲得
相手の意図を理解する基盤は乳児期にあるが,幼児期ではそれをいかに育てるかが重要である。縦断的研究や国外の研究との比較から,日本の親子のコミュニ ケーションパターンとして気持ちを聞く言葉が少なく,一方向の命令語が多いことが明らかになってきている。親が子どもと意図を共有し,子どもの意図表出を増やしていくような関わり方が求められる。
3) 実践研究の妥当性
実践研究は,教育実践における妥当性が重要である。そのためにも研究者は実践と研究を行き来し,研究者だけでなく関係者全員にとって必要な研究を意識していかなければならない。
セミナーの考察
小学校教諭を10年間経験した後,イギリスの大学院に進学し研究者となった講師の辻先生は,実践における課題を出発点として長年研究をされており,本プログラムの受講生が目指すモデルの1人であると言える。本セミナーでは先生のこれまでの研究や研究者になるまでの経緯に沿って,研究や学問そのものへの視点,研究者としての姿勢,教育実践における研究の妥当性への意識などを学ぶことができ,研究者としての教師や保育者を目指す学生にとって大変熱意が高まる講義であった。(教育・学習専攻 M1 中川 茜)